Q.マツの異常

Q.
クロマツの針葉がお盆過ぎに急激に変色し、2~3週間で褐色に変色して枯死することが良くあります。

造園業者さんにお尋ねすると「松くい虫被害でしょう。今からだと間に合いませんね」とのお答えがあります。

松くい虫被害を早めに発見し、対策を講じることは出来ないでしょうか。
また、松くい虫の予防対策を教えてください。

A.
松くい虫被害(マツの材線虫病)は良く相談のある事項ですが、ご相談いただいたときには手遅れの場合がほとんどです。

マツに異常を起こす原因は、マツノマダラカミキリ(以下、カミキリ)の体内に保持された病原であるマツノザイセンチュウ(以下、材線虫という)が、カミキリが元気なマツ類に移動し、その枝を加害(後食)することで元気なマツの体内に侵入し、マツの生理状態を阻害することにあります。

前年に枯死したマツからカミキリが材線虫を保持して、元気なマツを加害する時期は5月下旬から8月上旬にかけてです。

今までの調査では、5月中旬頃にカミキリの後食痕から侵入した材線虫によりマツが生理的異常を呈する時期は、梅雨明け頃からになっています。

材線虫の侵入を受けたマツは、7月中・下旬頃には樹脂(ヤニ)の滲出に異常を呈しているものです。

今、マツの幹に大きな釘を打ちつけ引き抜いて、そこから樹脂が滲出するか否かを確認する方法で、現在のマツの健康度合いを把握できます。

今、樹脂の滲出が認められないようであれば、マツの材線虫病を疑う必要があるでしょう。

樹脂の滲出の悪い場合には、これからの高温・乾燥によるマツのストレスを抑制するために充分に灌水を行うとともに、浸透移行性の高い薬剤の樹幹注入や土壌施用により、材内の材線虫の行動を抑制することで、病状の進行を抑制できれば感染木を治療できる可能性があります。

治療の成否は、何処まで早く病状を把握できるかにかかっています。

マツをお持ちの方は、樹脂滲出状況を10月頃までお確かめください。

10月に樹脂滲出が旺盛なマツが枯死する確率は、これまでの数百本の調査では5%未満でした。

マツの材線虫病の予防は4月頃までに樹幹注入剤を注入するか、5月中旬、6月上中旬、6月下旬・7月上旬の3回、予防散布薬剤を散布されることだと思います。

どうしても守りたい盆栽等は、防虫網内で栽培するなどの工夫もいるでしょう。
(小河)