Q.サクラの葉を食害する害虫について

Q.
 サクラの木にクモの巣を張ったようにして葉を食害している虫がいますが、何でしょうか。
 防除はどうしたらよいでしょう。

A.
 現物を見ていませんのではっきりとは言えませんが、アメリカシロヒトリでしょう。

 アメリカシロヒトリは、100種以上の樹木を加害しますが、サクラ、スズカケノキ、モミジバフウ、ヤナギ、ポプラ、アメリカハナミズキ、クルミなどの落葉広葉樹が主で、都市の街路樹での発生が顕著です。


 この虫は、第二次大戦直後に米軍物資に付着した蛹が日本に入ったと言われています。

 発生場所は都市、人家周辺に多く発生し、森林に侵入しないといわれています。

 この理由として、鳥・昆虫による捕食の多少が影響しているのではないかということです。1年に2回発生します。

 第1回の成虫は5月中旬から6月中旬に発生して、葉裏に200~800粒の卵塊を産み付けます。

 第2回の成虫は7月下旬から8月下旬に出現します。

 淡黄色の孵化・若齢幼虫は、卵塊ごとの集団で糸をはり巣を作って葉肉のみを食って葉皮と葉脈を残すので、小枝単位で葉が白っぽくなって遠方からでも被害の発生がわかります。

 この状態は5齢幼虫位まで続きますが、6齢幼虫になると分散し、葉を丸ごと食べるので、樹木が丸坊主になることがあります。

 7齢で老熟した幼虫は樹皮の割れ目や羽目板の隙間に入って繭を作り蛹になります。

 防除は、巣を作り集団で食害している間に、枝葉ごと除去するのが最も効果的な方法です。

 巣の除去が困難な場合には、若い幼虫の時期をねらってDDVP乳剤の1,000~1,500倍液、オルトラン水和剤の1,500~2,000倍液、オフナック乳剤の1,000倍液などを散布します。

 近くに野菜などが栽培されている場合には、散布薬剤が飛散しないように充分な注意が必要です。

 また、DDVP乳剤を散布の際には、サトザクラ(ヤエザクラ等)には薬害が出ることがありますので、品種を確認して薬剤を散布してください。(小河)