Q.
新聞で、マツクイムシに強い「抵抗性クロマツ」が枯れる被害が報道されていました。
抵抗性クロマツが枯れていくと、海岸林が衰弱し、海岸浸食されるのではないかと心配です。
A.
マツノマダラカミキリ(以下、カミキリ)は、体内にマツノザイセンチュウ(以下、線虫)を保持して、前の年に枯れたマツから飛び出してきて(羽化脱出)、元気の良い松の枝(多くは1~2年生の枝)をかじります。
そのときに材線虫がカミキリから離脱して、かじり痕からマツの材内に侵入します。
侵入した材線虫が材内を移動する段階で、元気なマツは異常を起こし、夏場にマツが水ストレスを受ける頃から、材線虫が大増殖して、やがてマツを枯らします。
マツが衰弱し始めると、カミキリが産卵します。
幼虫は最初は樹皮の下をかじりますが、やがて材をかじり始め、10月ごろには材内にサナギになる部屋を作り、そこで越冬します。
越冬した幼虫は、5月上旬ごろから蛹になり、5月中旬ごろから羽化脱出します。
防除は以下のとおりです。
①枯れたマツを切り倒し、、林外に持ち出してチップにしたり消極します。これにより、材内のカミキリを駆除します。
②予防的に農薬を散布し、飛来したカミキリを殺虫します。
③予防的に農薬を樹の中に注入し、材内に侵入してくる材線虫を駆除します。
④抵抗性のクロマツ、アカマツを植栽します。
ただし、どんな状況でも枯れない性質を持っているのではありません。
多くの攻撃を受けたり、夏場に水ストレスが生じると「抵抗性クロマツ」でも枯死します。
テーダマツやスラッシュマツでも枯れた事例があります。
そこで、特に①にカミキリ駆除が大事になってきます。(小河)